1979年の開局当時は平屋の屋根を這うように3.5MHz短縮のHFダイポールを上げていたが, 1981年に建設したばかりの2階の屋根に21MHz 3エレと28MHz 3エレの2本のHB9CVを上げた。そのビームアンテナを上げた直後から21MHz(10W)で交信すると近所の家(南側前方10mくらいの距離のお宅)にTVI(テレビ受信障害/Television interference)を出しまくり, 夜中に旦那さんが酔った勢いでよく怒鳴り込んできたものだ。そのたびに子供だった私は2階に隠れて母親が平謝りで対応してくれた。当時のTVI対策は無線機側にローパスフィルターを入れることとテレビ側にTVIフィルターを入れることの二つしか指南されていなかった。当然ローパスフィルターは入れており, それでもTVIが全く改善されないため, 隣家にお邪魔しTVIフィルターを入れたが, TVIは止まるものの何とテレビが映らなくなってしまった。テレビ, アンテナ, 同軸ケーブルを確認するとテレビは白黒の骨董品, アンテナは錆だらけで朽ちる寸前(沿岸のため塩害の被害が大きい), 同軸ケーブルも外皮を見ただけで劣化が確認出来た。どれもボロボロで10年くらい前のものと思われるレベル。TVIフィルターのわずかな減衰にも耐えられないまるでTVI探査装置と言える代物だった。但し, 隣家の方からAMラジオに私の声が入るとの報告があり, 発射する電波側にも問題はあったかも知れない。そのため, やむなく近所が寝静まる夜中にDX局を探していた。 現代では当時のような劣悪なテレビ受信環境は殆ど無いと思われるが, 1KWの超高出力を目指すこと, 私のところの多種多様なアマチュア無線用アンテナ群, 電子機器の増加など, 要素が増えることでインターフェアのリスクは以前と変わらないかむしろ高くなっていると思われる。また, ひとたびインターフェアが出れば近所付き合いに多大な悪影響が出ることを身をもって経験しており, KW免許取得に向けて万全の電波障害対策をおこないたい。数10年前の対策に比べ, 現代ではインターフェアの原理の解明が進み, 有効な対策が指南されていると思われる。このページでは電波障害対策グッズの客観的な評価や障害発生源の特定, 実際に実施した対策とその効果などを紹介する。 CQ出版の「電波障害対策 基礎講座」などによればインターフェアには大きく分けて3つの要因がある。 1)コモンモードノイズ →インターフェアの要因として大きなウエイトを占めている。 数10年前はコモンモード対策の理解が不足していたことが今更ではあるが非常に痛い。 まずはこの「コモンモードノイズ」の原理を理解し, 発生状況の可視化, 対策グッズの選定と その効果を検証する。 2)発射する電波の質(不要輻射) →現代の無線機であればローパスフィルターを入れてあれば不要輻射のレベルは気にしないで 良いと思われるが…? 3)被害を受ける側の機器の要因(ケーブルが受信アンテナになっている, ノイズ対策が不十分) →実際に電波を出してご近所を一軒ずつ回りながら確認。 これらの要因を一つずつ検証しインターフェアの完全な封じ込めを目指す。 要因1 「コモンモードノイズ」 要因2 「不要輻射」 要因3 「被害を受ける側の機器」 |